何かを大きく変えた感覚は、なかった。
改革をしたつもりもない。
誰かを切ったつもりもない。
ただ、
「全部を見る」と決めてから、
少しずつ、店の空気が変わり始めた。
第1ブロック|過去・導入
最初に変わったのは、
数字でも、売上でもなかった。
会話だった。
誰かが誰かの話をするとき、
言葉の選び方が、少しだけ変わった。
以前は、
どこかに棘が混じっていた言い回しが、
いつの間にか、減っていた。
悪口が、完全になくなったわけじゃない。
でも、
空気を濁らせるほどの量ではなくなっていた。
第2ブロック|葛藤・転換
数字も、少しずつ安定していった。
急に伸びたわけじゃない。
派手な変化もない。
ただ、
説明のつかないズレが、減っていった。
帳簿と、
レジの中身と、
感覚が、同じ方向を向くようになった。
人の入れ替わりもあった。
無理に引き止めた人はいない。
無理に残した人もいない。
気づいたら、
ここにいる人たちは、
同じ方向を向いて働いていた。
それは、
仲が良い、という意味じゃない。
ただ、
余計なエネルギーを使わなくなった、
そんな感覚だった。
第3ブロック|現在・暫定結論
あとから思えば、
店の「水」が、少しずつ澄んでいったのだと思う。
完全に透明になったわけじゃない。
今も、濁ることはある。
でも、
以前のように、
何が原因か分からない濁りが、
溜まり続けることはなくなった。
誰かが何かをした、というより、
不自然なことが、起きにくくなった。
それだけで、
この場所は、ずいぶん呼吸がしやすくなった。
うまくいっている、と言えるほどではない。
ただ、
壊れながら進んでいる感覚は、なくなった。
この変化が正しかったのかは、
まだ分からない。
でも少なくとも、
この店は、
無理をしながら延命している場所ではなくなった。
そう感じられるようになった。
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